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もともと日新火災海上保険については、これまでの経験から、支払いが良くない保険会社と私は認識していますが、同社愛知北サービス支店の示談交渉時の対応の悪さ及び同支店が主張する症状固定時の判断があまりにも不当であったため、注意を喚起する意味で皆様にご報告します。

 事案は、事故後1か月で治療費の内払いが打切られ、その後健康保険を使い7か月間通院を重ね、当事務所に依頼後、自賠責等級併合14級を獲得しました。
 そして、平成26年3月、当方は裁判基準にしたがい約300万円を請求しました。
 その後、1か月を経ても何らの回答がなかったので、催促すると、同支店担当者は「あと1週間で返事をする。」、「週明けには回答する。」などと3度も約束したにもかかわらず、請求後3か月を経過しても何らの回答をしてきませんでした。
 そこで、本社宛てに具体的事実を明らかにしたうえで抗議したところ、担当者が変更になり、同年7月になってようやく回答をしてきました(その後も当方の再請求を催促するまで1か月以上放置しました)。
 ところが、その回答は、「事故後1か月を経過した時点で、担当者が本人と面談した際に、担当者が治療費の内払いを止めることを告げると、本人が『了承』したので、事故後1か月間の治療費・交通費・休業損害・通院慰謝料しか支払わない。」などと述べ、後遺障害部分を含め70万円程度しか支払わないとのことでした。
 そこで同支店担当者に、被害者の「了承」とは何に対するものか具体的説明を求めましたが、「交渉メモに、治療費の打切りにつき『了承』と記載がされている。」と述べるばかりで、何らの具体的説明もなく、少なくとも「症状固定の『了承」」であることさえの裏付けもとれていませんでした。
 当然のことながら、担当者は主治医の見解の確認もしていません。
 また、仮に被害者が内払いの打切りを『了承』したとしても、そのことは症状固定時期とは何の関係もありません(症状固定時期の「同意」や「了承」なら場合により意味をもつこともあるでしょうが)。
 
 本件で、主治医は明確に事故から8か月後に症状固定したことを認めていますし、自賠責保険の認定でも、治療期間は8か月とされています。
 そして、事故後1か月経過後の本人の「了承」について本人に確認したところ、同社担当者から治療費を止めるといわれたので、仕方がないと思ったとのことで、その時点で症状固定をすることに対し「了承」したのでは決してないとのことで、現に打切り後も治療を継続しています。
 
 そもそも、自賠責で併合14級の認定を受けた事案にもかかわらず、事故後1か月で治療費を打切ること自体、損保会社の態度として言語道断であることはいうまでもありません。
 また、交渉時に対案の提示につき何度も回答期限を約束したにもかかわらず、何の連絡もなくこれを放置して平然としている交渉態度も不誠実以外の何物でもありません。
 加えて、本件で最も問題なのは、症状固定か否かはその時点で治療効果があるかにより判断すべきであり、その判断は主治医の専権に属しているにもかかわらず、法的知識が十分ではない被害者に対し、治療費を打切ることの「了承」を取り付け、これをもって症状固定であると断じて動かないその悪質性です。
 
 損保会社が正当な理由をもって治療費の内払いを一方的に打切ることはやむを得ない面もあります(その時点でなおも治療が必要な場合、ご自身の費用負担で治療を継続し、後の本請求時にご自身で負担された治療費を請求することになります)。
 内払いを法的に強制する手段が限定されている現状では、被害者は内払いの一方的な打切りに甘んじざるを得ない状況にありますので、被害者が打切りを「了承」すること自体意味がありません。
 にもかかわらず、日新火災の本ケースのように、被害者が治療費の内払いの打切りに「了承」したことをもって、主治医の判断や自賠責の認定に反して、症状固定時期を極めて短期間に制限しようとする日新火災の態度は明らかに不当です。
 
 日新火災を相手方にする場合は、治療費等の内払いの打切りの連絡があった場合、「現時点で治療の必要性があり、主治医も治療に必要性を認めている。したがって、治療費の打切りについては『了承』しない。」旨の書面での回答が少なくとも必要になるでしょう(これで同社が正当な支払に応じるとは思えませんが・・・)。
 もちろん、本件は訴訟を提起して法廷の場で争うことになりますし、日新火災全体がこの愛知北サービス支店のような姿勢をとるのであれば、交渉を経ても徒労に終わるのは明らかなことから、相手方任意保険会社が日新火災の場合、早期解決を諦め、全件訴訟対応せざるを得ないこととなるでしょう。


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