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㈱自動車保険ジャーナル紙に、弁護士丹羽が代理し、自転車を運転し赤色信号で横断歩道を北進横断し、西進した普通乗用自動車と衝突した被害者の過失割合を10%に留め、また、自賠責で顔面醜状7級12号、歯牙欠損12級3号併合6級の認定を受けた女性被害者の逸失利益につき、44年間25%の労働能力の喪失を認めた名古屋地方裁判所平成28年7月27日判決が掲載されました。
なお、本判決に対し、被告側から名古屋高等裁判所に控訴されましたが、控訴審でも原審どおりの認定を前提として、原審認定の金額から、弁護士費用・遅延損害金部分を若干譲歩した金額で示談することができました。


過失割合について


この判決に先立つ加害者の刑事裁判では、加害者が黄色信号で交差点に進入したと認定して罰金刑に処せられ、被害者は相手方保険会社からも、被害者が赤色信号で交差点を横断し80%もの過失があるとして、当初治療費等の内払いを受けられませんでした。
しかし、この民事裁判では、被害者が赤色信号で横断したことは認めたものの、自動車運転加害者が黄色信号ないし赤色信号で交差点に進入したと認定したうえで、赤色信号横断自転車運転被害者の過失割合を10%に留めました。

自転車が赤色信号であった場合の一般的な過失割合につきましては、自動車側黄色だと、自転車対自動車=60%:40%、自動車側赤色だと、自転車30%対70%ですので、本判決は依頼者側自転車にとってかなり有利な解決を導くことが出来ました。

民事裁判では、加害者は青色信号で進入したと主張し、また、刑事裁判では加害者の黄色進入を前提とした証拠が作成されていましたので、加害者側も赤色信号であった事実を証明することはかなり難しかったのですが、加害者の反対尋問で崩すことに成功した事例になります。


加害者自己破産との関係について


本件事故後に加害者が自己破産をしていたことが判明したため、民事裁判に先立って、当方は損害賠償請求権を破産債権として、債権届をした上で破産手続き上の査定申し立てを行いました。
そして、債権査定手続きでは、被害者の過失割合を0%とする決定が出ましたので、本民事裁判上の相手方保険会社に対する直接請求において、査定決定が直接請求条項の「確定判決と同一の効力をもつ」ものとして、相手方保険会社は査定決定認定額の支払い義務を負うと主張しましたが、この点は排斥されました。


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