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当事務所では、平成27年からSBI損保の弁護士費用特約の利用をお断りしておりますが、今回、相手方加害者が加入するSBI損保東京第4サービスセンターの担当者に問題があると思える対応がございましたので、注意を喚起するためにご報告します。

事案は、自転車に乗車した依頼者が交差点で出合頭に相手方普通自動車と衝突し、依頼者が脳挫傷等の重傷を負ったものです。

令和5年6月5日追記~抗議前に適正に対処いただきました~

本日SBI損保から連絡をいただき、担当者が変更したこと、治療費について内払いいただけること、当面調査会社をいれないことの連絡をいただきました。
当事務所としましても、SBI損保に正式に抗議する前に、内部手続により先の対応を是正し適切に対処いただいたことを大変ありがたく思っています。


事実経過


SBI損保担当者は、当事務所宛に
『本件は事故状況がはっきりしないので、治療費は支払えません。人身傷害保険に加入しているならそちらを利用してください』
と連絡をしてきました。

実は、この連絡がある20日ほど前にSBI損保の物損担当から、過失割合について当方30%対70%とする提案を受けていました。
一般に、相手方損保被害者30%の過失割合主張で、しかも依頼者は健康保険を利用していますので、損保会社から健保自己負担分の内払いを拒否されることはあまりないのが実感です。
ただ、当方としても治療費の内払いが拒否されたとしても、自賠責に被害者請求をするだけなので別に問題はなかったのですが、一応、治療費の内払いを拒否されたという事情は、相手方加害者の刑責に影響しかねず、その旨を捜査機関に上申する必要がございますので、念のため担当者に連絡をしました。

担当者に連絡をすると、担当者は当方に治療費の内払いをしないことを改めて伝え、病院から来た請求書を病院に返送し、直接当方に請求するよう伝えると話しました。
これに対し、当方は、治療費を支払わないのは構わないが、現状で保険金が支払われなかった事実については、捜査機関に上申する旨を伝えました。

すると、担当者は『過失割合についてどのように考えているか。』と尋ねてきましたので、当方は『そちらから提案いただいた30%対70%で構わないと考えている」』と回答しました。
どうも担当者は、物損担当者から当方に対し過失割合30%対70%の提案がなされていることを知らなかったようで、さらに、『自転車に飛び出しがあったと聞いている』などと過失割合の前提となる事故状況について争う姿勢を示してきました。

当方は、物損・人身担当者間で全く連携が取れておらず、矛盾しかねない対応をとるSBI損保の対応に呆れ、まずは人身・物損相互に連携をとったうえで連絡をしていただかないと困ると伝えました。
その上で、当方が『一般的に過失割合30%で保険金を不払いするというのは疑問である』旨伝えると、担当者は
『不払いというのは語弊がある。当方はあくまで支払いを拒否するのではなく支払いを検討したいといっているだけだ。」』
と突如、支払いについて検討すると前言を翻し出しました。

さらに、担当者は、『事故状況について調査会社をいれるので調査会社から依頼者に連絡がある旨伝えて欲しい』と話しました。
当方としましては、調査会社が入るのは全く問題ないので、それについては了承したうえで、『当方が代理人なので、調査会社からの連絡は当事務所宛にして欲しい』と要望しました。
すると、担当者は、「ただ、当事者に話を聞かないと」といいこれに応じようとしませんでした。

そこで、当方が「当方が代理人である以上、こちらに連絡をしてもらうのがルールである。それを拒否するなら、当方も貴社の示談代行を否定し貴社の契約者に直接連絡しなければいけなくなる」旨説明しました。
そうしたところ、担当者は
『拒否するなんてさっきから一方的にこちらが悪いような言い方をしないで欲しい』と怒り出しました。


SBI損保担当者の問題点


事実経過は以上のとおりですが、もちろん、治療中の治療費の内払いは相手方損保の任意ですので、SBIがこれを拒否することには全く問題はありません。
しかし、この担当者の内払いを拒否する過程はあまりにも杜撰としか言いようがありませんし、一方的に悪く言うのはやめて欲しいなどと、当方を悪く言い出す姿勢には問題があると考えます。

そもそも担当者は、事故状況が不明瞭で治療費の内払いができないなら、まずは先に調査会社をいれるなり、事故状況を確認するなりしてから、治療費の支払いを拒否すべきと考えていますし、多くの損保/共済会社はそのような対応をすることが多い印象です。
しかも、本件ではSBI損保は事前に事故状況について特段問題視することなく、当方に30%対70%とする過失割合の提案をしてきています。
さらに、本件は重傷事案ですので、損保会社の社会的な責務として、治療費の内払いを拒否するためには一層慎重さが求められると考えています。
加えて、損保会社が自己の判断で支払いをしないのは任意ですが、被害者側としては、保険金の支払いの有無やその程度については被害回復の状況を示す一般情状事実として、加害者の刑事裁判に影響を与える非常となりますので、その旨捜査機関に上申することになりますが、この担当者は契約者の刑責に与える影響まで考えていないかのようでした。

にもかかわらず、担当者は一方的に治療費の内払いを拒否したうえで、人傷を使うよう話してきました。

また、担当者は話し合いの過程で突如、支払いを拒否したのではなく保留もしくは検討するといっているだけだと主張してきました。
当方としましては、担当者が請求書を病院に返し当方に請求してくれと伝えるとまで言いましたので、担当者は治療費の内払いを『拒否した』としか捉えられませんでした。

さらに、賠償実務上の代理人及び示談代行者間のルールにしたがい、調査会社からの連絡を直接依頼者ではなく代理人である当方にするよう求めたにもかかわらず、これを拒否するような姿勢を示した挙句、当方が担当者を一方的に悪く言っているかのような主張を展開し始めました。

弁護士丹羽は、依頼者にとって最良の解決をもたらすためには、各損保・共済会社担当者及びその顧問弁護士らだけでなく、最終的な判断権者である裁判所との信頼関係が最も大切だと考え、日々信頼関係の構築に努めています。
ただ、交通事故専門弁護士である私に対しても、信頼関係の構築以前の不合理かつ不誠実な対応をしてくる担当者はまだまだいるのが現状です。
このような担当者が一般人である被害者の方々ご本人に対し、どのような対応をしているのか本当に危惧しています。
一般の方には、どこの損保・共済会社の対応が良いか悪いかはわかりません。
SBI損保に限らず、いずれの損保・共済の各担当者の方々は、相手方は交通事故被害に遭われて生活や人生を一変させられた被害者の方々であることを今一度強く認識していただければと考えています。


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