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画像はGooglemapから抜粋させていただき、画像上の人物や車両は本文とは全く関係ありません

愛知県では、令和3年10月1日からすべての自転車運転者にヘルメット着用が義務付けられました。(R3.10.1追記)

愛知県では、令和3年4月1日から「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が施行され、令和3年10月1日から、自動車利用者のヘルメット着用義務(11条1項)、保護者の未成年者に対する(同条2項)、事業者の従業者に対する(同条3項)ヘルメットを着用させる義務がそれぞれ課されることになりました(詳しくはこちらをご覧ください。)。

これらの義務は努力義務で違反したとしても罰則を科されることはありません。
しかし、下記のとおり高齢者や幼児・児童のみならず、すべての自転車利用者の方がヘルメットさえ着用していれば、重大な死傷結果を防げたであろう事案は増えるばかりです。
県内に住所がある、2022年3月31日現在で満7歳以上満18歳以下である児童生徒等や、2022年3月31日現在で満65歳以上である高齢者が、ヘルメットを購入した際に、2,000円を上限とする補助金を受けられる制度も拡充・延長されています(詳しくはこちらをご覧ください)。

また、自転車利用者が交通事故に遭った場合の賠償上の問題として、今後、自転車利用者のヘルメット非着用事故での自転車側の過失割合を問われるケースが増大することになります。

昭和63年に原付を含めたすべてのバイクにヘルメット着用義務が課され、今ではバイクに乗車する際にはヘルメットを着用することが当たり前になったように、また、近時流行しているロードバイクではヘルメットの着用が当然になっているように、今後自転車に乗るすべての方がヘルメットを着用することがごく自然のことになり、不測の事故により辛く悲しい思いをされる方が少しでも減ることを、交通事故被害者救済弁護士として心より願っています。

自転車による高齢者の交通死亡事故が多発しています。

近時、自転車による高齢者の死亡事故が多発しています。
最近では自動車との事故のみならず、自転車との衝突による死亡事故も生じています。
高齢者の自転車での事故が増えているのは、高齢化の影響のみならず、免許返上による車の代替交通手段としての自転車の利用や、コロナ禍での公共交通機関の利用の差控えなどが理由として挙げられるかもしれません。

自転車は不安定ですので、自動車などからわずかに接触を受けただけで容易に転倒する危険がありますし、一般に高齢になってくると反射神経・瞬発力や筋力の衰えが生じるため、咄嗟に足を踏ん張って転倒を防ぐことや、反射的に手をついて頭を守ることなどもできなくなってきます。
また、判断能力が衰え視野が狭くなることで、道路を横断しようとする際に、接近する自動車に気付かなかったり、目測や判断を誤ることもありえます。
自転車は歩行中よりも頭位が高くなりがちで、咄嗟に両足で踏ん張ることもできないため、横から衝突を受けた際、頭部から固いアスファルト路面上に落下することにより、死の結果を生じるほどの衝撃を頭部に受ける可能性も高くなります。

このようなことから、高齢者が自転車で交通事故に遭った際、わずかな接触であったにもかかわらず死亡等の重大な結果が生じる可能性が高くなります。

当事務所でもこれまで、70代男性が自転車側に一時停止規制のある十字路交差点で交差自動車と衝突した事故、70代女性が丁字路交差点直線路を直進した際、突き当り路を左折しようとしたトラックと衝突した事故、70代女性が横断歩道を直進しようとした際左折してきたトラックに巻き込まれた事故、70代女性が十字路交差点で自動車と衝突した事故などを取り扱ってきました。

いずれの被害者の方も、お孫さんに囲まれその成長を生きがいにし、お子様から親孝行の旅行に連れて行ってもらうことを何より楽しみにしていた折での事故でした。
高齢者の方ほど、それまで家事を一手に担ってきた奥様がお亡くなりになることで、残された旦那様は、食事も満足に食べられず、洗濯も掃除もままならなくなり、外に出る気も起きず、一気に生活の質が低下し、心身の健康を大きく損なうという二次的な被害が生じることも多々見られます。


自転車高齢者の命を守るためにヘルメットを着用しましょう


このような凄惨な自転車高齢者の死亡事故を減らすために、当事務所では、ヘルメットを着用することが一つの解決方法だと考えています。

自転車高齢者の死亡事故をみますと、高齢者以外では死の結果を生じなかったのではと思える程度の比較的軽微な事故態様であっても、バランスを崩しアスファルト路面上に頭から転倒し、脳挫傷により死亡するケースが散見されます。
また、高齢者に限りませんが、自動車に跳ね上げられてフロントガラスに頭部を強くぶつけ死亡するケースなどでは、ヘルメットを着用し頭部を保護していれば、死亡という重篤な結果を避けることも可能だったと考えられます。

大変残念ながら、安全確認がおろそかな危険な運転をする自動車運転手は後を絶ちません。
上にあげた左折トラック巻き込み事故では、トラックの助手席側の窓のカーテンを半分ほど閉め、助手席側下部の安全窓も荷物で防ぎ、左折時の左方確認がほとんどできない状態でした。
丁字路での事故は、トラックの運転手は車両が来る右方向ばかりを見ていて、左方から来る自転車に全く気付いていませんでした。
交差点での出合頭事故では、交差道路が一方通行路であったため、自転車が来た他方通行方向は全く見ていませんでした。
大変残念ながら、不幸で凄惨な交通死亡事故を防ぐためには、高齢者や自転車等の交通弱者側も自衛手段を講じるほかありません。
もちろん、ヘルメットによって命が救われるのは高齢者に限ってのことではなく、自転車運転者全ての方に当てはまりますし、歩行中でも重篤な結果を避けられますので、歩行中のヘルメット着用も望ましいと思われます(炎天下での熱中症には留意する必要はあると思いますが)。

現在ではロードバイクブームもあり、自転車屋さんやインターネット上で、男性用女性用問わず大変お洒落な自転車用ヘルメットがたくさん売られています。
中には普段被っているお洒落な帽子のような外観のヘルメットもあり、いずれも数千円程度で購入できます。
なお、上記のとおり、児童・生徒、高齢者のヘルメット購入時の補助制度(最大2,000円)の対象や期間も拡充されています。

この機会に、大切なかけがえのないお祖父様お祖母様の命を守るため、例えば、可愛いお孫さんから「お爺ちゃんやお婆ちゃんのことが大好きだから、事故に遭わないでいつまでも元気で長生きしてね。」とのメッセージとともに、お祖父様やお祖母様へ「格好いい」もしくは「可愛らしい」自転車用ヘルメットをプレゼントされてみてはいかがでしょうか。

自転車の手軽さには十分な配慮が必要なことはもちろんですが、当事務所では、自分の命は自分で守るために自転車用ヘルメットの着用が当たり前の世の中になり、一人でも多くの方が交通死亡事故に遭わないことを切に願っています。


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