被害者側交通事故専門弁護士によるブログ
令和6年度も愛知県の自転車乗車用ヘルメット購入補助制度が実施されます。
令和6年3月26日、愛知県による自転車乗車用ヘルメットを購入時に2,000円を上限とする補助制度が今年も延長されました。
当事務所でも、令和3年10月1日、愛知県の条例(自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例・第11条)で自転車のヘルメット着用が義務付けられると同時にこの助成制度が始まったことや、特に高齢者の自転車乗車中の死亡事案が増えていることをご案内し、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに格好いいヘルメットをプレゼントしましょうと、自転車乗車時のヘルメットの着用を呼びかけましたが(「自転車高齢者の死亡事故を防ぐために~ヘルメットを着用しましょう!」)、令和5年4月1日の道路交通法改正によるヘルメット着用義務化(第63条の11)や、近時、当事務所では高齢者のみならず若年者のヘルメット非着用による重傷頭部外傷事案を数多くご依頼いただいていることを受け、改めて皆様に自転車乗車時のヘルメット着用の重要性をお伝えいたします。
昨今では、機能性だけでなく美観性を備えたヘルメットも多数販売されています。
この春に中学・高校に進学され、お子様がより自転車を運転する機会も増える中、自転車での行政の補助金を十二分にご活用いただき、自転車乗車時にはヘルメットを着用することが常識となり、重傷頭部外傷により辛く悲惨な思いをされる被害者やそのご家族、友人らが少しでも減ることを願っています。
自転車と四輪車の事故は重大な頭部外傷を生じます。
上記画像は、自転車乗車中に出合い頭で四輪車と衝突した事案の四輪車の画像ですが、いずれもフロントガラスが大きく割れています。
この画像のように自転車と四輪車の事故では、自転車の高さや四輪車の構造から自転車運転者は四輪車のフロントガラスやAピラーに頭部を強く打ち付け、これを避けられても、跳ね飛ばされアスファルト路面上に頭部を強打するなどして、重大な脳損傷が生じる可能性が非常に高い極めて危険な事故態様になります。
このような事故では、大変不幸なことながら、自転車運転者は意識を失い、高齢者の場合はそのまま意識を回復することなく死亡し、若年者の方は幸いにして意識を回復しても、四肢の麻痺や記憶・言語・認知障害などの重い高次脳機能障害が残ってしまうことが多々あります。
自転車側にも大きな過失が認められてしまう場合も
従前よりお伝えしておりますとおり(「交通事故被害に遭わないために~過失割合から考える交通安全」)、自転車と四輪車との交差点での出会い頭事故で、自転車側に一時停止表示があった場合、自転車側に原則として4割もの過失割合が認められてしまいます。
また、同じような幅の交差点でどちらにも一時停止がなかった場合でも、自転車の過失割合は原則として2割の過失が認められてしまいます。
交差点でなくても横断歩道等のない道路を横切った場合の過失は原則4割ですし、交差点での左折巻き込み事故でも原則1割の過失が認められるように、自転車も道路交通法上の車両として扱われるため、法律上は歩行者のような絶対的な保護は与えられません。
ヘルメット非着用による過失の加重
さらに、上記のとおり令和3年10月から愛知県の条例で、また、令和5年4月から道路交通法で、それぞれ自転車のヘルメット着用(もしくは着用させる)義務が認められましたので、これ以降、ヘルメット非着用により重傷頭部外傷を負った場合など被害が拡大した場合は、さらに自転車運転者に5乃至10%程度過失が過重されることもあります(東京地裁令和4年8月22日判決)。
なお、自転車乗車時のヘルメット非着用による行政・刑事上の罰則はなく、この点で「努力義務」などと言われたりしますが、法律上の義務であることには何ら変わりありませんので、民事上の過失は認められます。
そのため、自転車の運転者には、重大な被害を負わないためのみならず、事故が生じた場合の過失を軽減するためにもヘルメットの着用が求められているのです。
愛知県の助成の内容
補助対象者 7歳以上18歳以下の児童生徒等、65歳以上の高齢者
補助金額 自転車乗車用ヘルメットの購入・販売費用(消費税及び地方消費税相当を含む。)の1/2
(ただし、ヘルメット1個につき、上限2,000円)
*各市町村により上乗せされる場合があります。
例えば、名古屋市では年齢制限はありません。
補助対象 令和6年4月1日以降に購入したSG、JCFマークで安全認証された
新品の自転車乗車用ヘルメット
詳しくはこちらの愛知県のHPをご覧ください。
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