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弁護士丹羽は、(一社)ドライブレコーダー協議会の個人会員を務めておりますが、ドライブレコーダー協議会の母体である東京農工大のヒヤリハットデータベースに基づく論文を引用し、自損事故に基づく保険金請求を故意事故であると認めた裁判例が出されましたのでご紹介いたします。

事案は、動物を避けるためにハンドルを左に切ってガードレールに衝突したとして人身傷害保険及び車両保険を請求したもので、名古屋高裁令和7年10月8日判決は、東京農工大スマートモビリティ研究室教授ポンサトーン・ラクシンチャラーンサク先生と客員准教授藤田光伸先生が、令和元年11月に(一社)日本機械学会で発表された論文「動物の飛び出しが原因で発生するヒヤリハットの発生状況」を引用しました(論文はこちら)。
名古屋高裁は、この論文によれば、動物を避けるために回避措置をとったヒヤリハットデータベース352件全ての運転手がブレーキをかけているにもかかわらず、本事案の請求者はハンドル操作のみで回避措置を講じている点が不自然であると認定しました。


東京農工大スマートモビリティ研究拠点のヒヤリハットデータベースとは


日本全国8拠点の200台を超えるタクシーから、事故や急ブレーキ急制動などのヒヤリハット事案の前方・車内ドライブレコーダー映像や車速・ブレーキ等の操作データを集積し、2024年10月現在22万件を超えるヒヤリハットデータが集積されています。
これらのデータは、事故原因の分析、自動運転の安全性能の向上、安全運転教育等に広く利用されています(ヒヤリハットデータベースについてはこちら)。


保険金不正請求をなくすために


弁護士丹羽は被害者側交通事故事件を専門的に取り扱っておりますが、故意に事故を起こしたり、水増し請求をするなどの保険金不正請求(モラルリスク)については、正当な交通事故被害者を愚弄し、損害保険実務を混乱に陥れる犯罪行為として絶対に許すことはできません。
そして、本件のような故意に車線を逸脱し自損事故を起こし、車両保険金や人身傷害保険金を請求する輩の言い分の多くは「動物を避けようとして操作を誤った。」というものです。

このような不正請求に対峙する弁護士の先生方におかれましては、今回ご紹介したポンサトーン先生・藤田先生の論文を活用され、不正請求者が動物への回避措置として通常講じられる運転措置を講じていないという点を指摘し、故意事故であるとの立証に役立てていただければと考えています。


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