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弁護士丹羽は、令和5年5月31日、日弁連交通事故相談センター愛知県支部産官学連携チーム及び名古屋大学地域を次世代につなぐマイモビリティ共創拠点が共催し、名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所に後援いただき、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社執行役員雨谷様とともに、『3D地図による事故態様の再現』と題した勉強会をZoomウェビナーにより開催いたしました。
当日、愛知県弁護士会所属の45名の会員及び企業や公的機関等194名の計239名の方々に受講いただきました。


勉強会の概要


勉強会の前半では、ダイナミックマッププラットフォーム㈱雨谷様から、同社の高精度3次元点群マップや3次元地図データについて、詳細かつ具体的にご説明をいただきました。
後半では、弁護士丹羽から3次元地図を用いた実況見分の有益性を説明した後、雨谷様との質疑応答形式により、仮想空間上で実況見分や事故再現を行う際の技術的問題点について具体的ケースを想定し洗い出していきました。
そして、仮想空間での実況見分や事故再現についての刑事証拠法上問題点を挙げた後、令和4年10月の報道された大阪府警が確立した3Dマップによる仮想現場再現法について議論いたしました。


3Dマップの証拠としての利用の可能性


現在、捜査機関を中心に3次元地図を用いた視覚的にわかりやすい証拠の研究・開発が進んでいます。
特に3Dマップを活用すれば、実際に事故・事件現場に赴いての測量や当事者の立会が不要となり、捜査機関の実況見分や民事での事故調査は極めて簡易化できる可能性を秘めています。

また、ORB-SLAM技術による映像に基づく自己位置推定やマッピングを活用していけば、例えばドライブレコーダーの映像があれば、事故状況が3次元地図上で正確かつ自動的に再現できることも近い将来可能になると思われます。

以上のとおり、3次元地図自体の正確性や視覚的な分かり易さから、今後刑事・民事を問わず証拠としての活用が進んでいくと思われますが、それが裁判官の心証にストレートに印象付けるものである以上、他方当事者としては、その作成過程の正確性や技術的問題点について、慎重かつ専門的に吟味していく必要が生じてきます。
我々法曹家としても、これら技術の発展を見守るだけでなく、積極的に証拠として利用していく技術を磨いていく必要があることを痛感しています。

勉強会進行次第

第1 3次元地図(3Dマップ)について
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社執行役員雨谷広道様からのご説明
第2 3次元地図の刑事・民事裁判での利活用に向けて
1 仮想空間での事故態様再現の可能性と問題点
(1) 仮想空間での実況見分の必要性と利点
(2) 仮想空間での実況見分の実現可能性と証拠法上の留意点
2 3次元地図による仮想現場再現法~大阪府警の取り組み


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