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令和4年5月から販売される新型大型トラックに左折巻込み事故防止装置の装着が義務付けられました。

令和元年11月15日に施行された道路運送車両の保安基準(以下「保安基準」といいます。)の改正により、令和4年5月から新型車として販売される車両総重量8t以上の大型トラックに、左折巻込み防止装置(側方衝突警報装置)の設置が義務付けられました。

これにあわせ、弁護士丹羽が担当した大型トラックの左折巻込み事故で死亡した遺族の方とともに、中日新聞社会部の記者様から取材をいただき、令和4年6月3日に愛知県内版に記事を掲載いただきました。


大型トラックの左折巻込み事故が多発する原因と現状の対策


大型トラック運転席の座面は高いため左下方や左後方の見通しは極めて悪く、また、大きな内輪差が生じるため、大型トラックの左折時には、歩行者や自転車を巻き込み重大な死傷の結果を負わせる事故が後を絶ちません。

そのため、保安基準44条5項において、運転者が運転車席において障害物(直前直左の歩行者や自転車)を確認できる鏡その他の装置を備えなければならないと規定されています。
これを受け、大型トラックには、サイドミラーの他、左下部や左後方を確認するため、アンダーミラーやサイドアンダーミラーが設置されているほか、助手席側ドア下部に安全窓(側面ガラス)が設置され、左下方の安全確認ができるようになっています。


大型トラックの違法行為の横行


上記のとおり、大型トラックにはそれなりに左折巻込み事故防止のための安全対策が取られているのですが、市販されている「アンドン」という板状のものを安全窓に貼り付け、安全窓の視認性を不可能にしたり、助手席側足元に荷物を置き、安全窓からの視認性を著しく困難にするケースが後を絶ちません。

これらの行為は、保安基準の細目を定める告示195条では、自動車の側面に設けられた扉等の下部に設けられた窓ガラスには透明であることが規定されていますので保安基準にも違反しますし、道路交通法55条2項の視野等を妨げる乗車・積載の禁止規定にも違反する違法行為です。

記事に取り上げられた事案では、大型トラックが、助手席側のカーテンを後方半分ほど閉め、助手席側足元に買い物かご用の荷物を置き、安全窓からの視認を妨げていたため、左方後方の安全を確認できないまま左折をし、広く見通しの良い歩道上を走行し、道路を横断しようとした自転車を巻き込み即死させたという凄惨なものでした。

また、当事務所で取り扱っている他の事案では、上記の画像のとおり、安全窓の外側からA4大の紙を張り付け安全窓を塞いでいた大型トラックが、左に進路変更をし、後続乗用車と衝突したという事故も現実に生じています。

愛知県内でも過去3年間で、トラックの左折巻き込みで9名の方が亡くなっています。

左折巻込み事故防止装置(側方衝突警報装置の概要)

今回車両総重量8t以上の新型トラックに義務付けられた左折巻込み事故防止装置の概要は以下のとおりです。

・時速30km/h以下で走行中、左側方を走行中の自転車を検知できること。
・検知範囲は自動車の左側面0.9m~4.25mの範囲。
・前輪タイヤ付近においては、0.25m~0.9mの範囲においても検知しなければならない。
・運転者が左折しようとした際に自転車と衝突する可能性がある場合に警報しなければならない。
・警報は視覚及び音による警報とする。

これにより、大型トラックの左折巻込みによる事故が少しでも減ることが期待されます。
しかし、現行のトラックの新車に義務付けられるのは、令和6年5月からになりますし、既に販売された大型トラックへの設置義務付けは現在のところ規定されていません。

実際にこの記事が掲載された4日後の令和4年6月7日、三重県津市で自転車の中学生が左折ダンプカーに巻き込まれ死亡するという大変痛ましく凄惨な事故がまた起きてしまいました。

弁護士丹羽は、すべての大型トラックの事業者に対して、大型トラックの左折巻込み事故が被害者の死亡や重大な傷害に繋がるという結果の重大性や、一向にこのような事故が多発しているという現実、上記のとおり、アンドンで安全窓を塞いだり助手席足元に荷物を置き安全窓の視認性を妨げるなどの運転者の安全意識の低さにかんがみて、自社のトラックやドライバーに対し、今一度安全窓を塞いでいないか視認状態は確保されているかの確認と指導を徹底するだけでなく、自主的に左折巻込み防止装置(側方衝突警報装置)を後付けするなどの対策を講じることを早急に求めます。


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